| 社長 |
「最近、新聞紙上などで新しい事業体として、LLPという言葉を目にするようになったけど、あれは一体何のことなのかな?」 |
| 税理士 |
「さすが、社長。その手の情報には凄く敏感ですね。社長のおっしゃるとおり、株式会社や有限会社といった従来の事業体とは別に、新たな事業体として注目を集めているのが、LLPと言われるものです。LLPは、Limited Liability Partnershipの略で直訳すると有限責任組合、つまり組合ということになります」
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| 社長 |
「横文字だと何だか難しそうだね」 |
| 税理士 |
「(笑)。では、簡単に御説明しましょう。LLPがなぜ注目されてい
るかといいますと、3つの特徴を備えているからです」 |
| 社長 |
「3つの特徴。どのような特徴なの?」 |
| 税理士 |
「はい。社長の経営されている株式会社と比較しながら整理しましょう。
まず、1つ目の特徴は、出資者は有限責任であるということです」 |
| 社長 |
「?? 私が経営している株式会社も株主は有限責任だったと思うけど…」 |
| 税理士 |
「はい。そのとおりです。つまり、株式会社と同じ特徴を備えているということが特徴です。そもそも有限責任とは、例えば、会社の借入金が返済できなくなってしまった場合には、株主や出資者はその債務の返済について出資を限度に責任を負うという制度です。逆にお金を貸す側からすれば、有限責任を盾に経営陣に好き勝手されては困るわけです。ですから、有限責任である代わりに、株主総会や監査役、取締役会といったいわゆる監視機能の設置が強制されており、会社の業務執行に際しては、それらの監視機能のチェックを受けなければなりません」 |
| 社長 |
「LLPはどうなの?」 |
| 税理士 |
「LLPは、有限責任ではありますが、内部自治原則が認められています。内部自治原則とは、出資者が自ら経営に参画し、利益や損失が生じた場合の出資者への配分も自由に決めることができます。これが2つ目の特徴です。監視機能のある会社に比べて、スピーディーな経営が可能になると思われます」 |
| 社長 |
「今はスピード重視の時代だからね。さて、3つ目は?」 |
| 税理士 |
「3つ目は、構成員課税(パススルー課税)です。社長、会社が利益を獲得し、株主が会社から配当をもらう場合には、どのタイミングでどのような税金が課税されているかご存知ですか?」 |
| 社長 |
「まず、会社が利益を獲得した時点で法人税などが課税されるよね。そして、法人税などを納めた後の税引後利益をベースに株主総会で利益処分の承認を得て、株主に配当金が支払われるね。その際、株主には配当金に対して所得税などが課税されるということだね。」 |
| 税理士 |
「そのとおりです。では、今の社長の御説明で、会社が獲得した利益が
株主の手に渡るまで、何回税金が課税されましたか?」 |
| 社長 |
「会社に1回、株主に1回の合計2回だね。あら?これって同じ利益に対して2回の税金が課税されているんじゃない?」 |
| 税理士 |
「その通りです。このような状態を二重課税といったりもするのですが、現在の税制では、法人税法で受取配当等の益金不算入、所得税法で配当控除という制度を設けて二重課税を回避しようとされているのですが、完全には回避し切れていないのが現状です」 |
| 社長 |
「LLPではどうなの?」 |
| 税理士 |
「LLPが獲得した利益について、LLPの段階では課税が行われず、
出資者に直接課税する仕組みになることが予定されています。これを構成員課
税(パススルー課税)といいます」 |
| 社長 |
「ということは、LLPは、何だかトンネルみたいだね」 |
| 税理士 |
「トンネルとは分かりやすいですね(笑)。トンネルですから、例えば、LLPで赤字が生じた場合には、その赤字もLLPというトンネルを通じて出資者に帰属します。赤字を受け入れた出資者は、一定の要件を満たせば、他の所得と相殺することも可能です。株式会社の場合には、赤字になっても株主へは帰属しませんよね」 |
| 社長 |
「なるほど。有限責任で決め事は自由。そしてトンネルか…面白そうな制度だね。ところでLLCとはどのような制度なの?LLPと何か違うの?」 |
| 税理士 |
「LLCも基本的な作りはLLPと同じですが、LLPと少し違う部分があります。ひとつは、LLCは、Limited Liability Companyの略で、Companyですので、あくまでも『会社』です。すなわち、法人格を持っている事業体となります。来春施行予定の新会社法では、『合同会社』という名称になります。また、この会社であるということで税金の面でLLPと違う取扱いになります。LLCはあくまでも会社ですので、法人税課税の対象になります。つまり、LLPで認められる構成員課税は認められず、LLC自体が法人税の納税義務者となります」 |
| 社長 |
「そうか。『C』は、“Company”のCなんだね。だから会社ということだ。
では、最初にトンネルの方、LLPについて少し詳しく説明してよ」 |